平成18年度 第37回富山県建築賞受賞作品

一般の部

入賞 黒部市立宇奈月小学校

黒部市立宇奈月小学校

所在地
黒部市宇奈月町浦山205
建築面積
6,486.2m²
延床面積
7,905.4m²
竣工
平成18年3月15日
建築主
黒部市
設計
(株)福見建築設計事務所
施工
[校舎棟]前田建設工業・富山工業JV 〔体育館棟〕大高建設・富山工業JV

講評

オープン・クラスルーム・システムを採った小学校であるが、オープン・スペースをゆったりと取る他に、通路スペースを広く取って、そこに図書ラウンジ、ふれあいホール、メディア・スペースなど児童同士や教職員が触れ会うことの出来るコミュニケーション・スペースを配して、学校全体のコミュニティ性を高めることに成功している。クラス・ルーム以外での児童他の行動を把握するための教員コーナーの配置、ブロック化された地域開放部分、それらを繋ぐ周回性を持たせたプランニングは、校内セキュリティの確保と言う点で優れている。またランチ・ルームに開くことの出来る音楽室やその他の特別教室にもそれぞれに特徴ある空間造形が与えられ、楽しい学校空間を創り出している。

入賞 いのくち椿館

いのくち椿館

所在地
南砺市宮後188
建築面積
1,333m²
延床面積
996m²
竣工
平成17年2月28日
建築主
南砺市
設計
富山県建築設計監理協同組合
施工
梅本建設工業・安達建設・藤井組JV

講評

住民が様々な文化活動、コミュニティ活動を行う場としての施設である。この地域の伝統的な「アズマダチ」民家の木構造をモティーフにしたデザイン、とりわけ多目的ホールに於ける重ね梁による独創的な形式の小屋組を顕しにした空間意匠、またそれと対をなしたエントランス・ホールの貫小屋組による空間意匠が優れている。また庭側の長い開口部に設けられた雁木通路と呼ばれる濡縁的空間が室内空間と戸外空間を繋ぐ役目を果たして空間に奥行きをもたらしている。この部分の剛性を補うための耐力壁も耐力格子という形式にして意匠的に違和感のない設えにしている。

入賞 野村病院

野村病院

所在地
富山市辻ヶ堂
建築面積
4,001m²
延床面積
12,829m²
竣工
平成17年8月31日
建築主
野村 幸男
設計
(株)地域建築設計
施工
大成建設(株)富山営業所

講評

老人医療を専門とする病院である。全病室を患者や家族にとって望ましい個室にすることを実現しているが、それを前室及びトイレと個室四室から成るクラスター・ユニットとして構成することで、従来通りの多床室に対する看護医療体制でも個室群に対するケアを可能にすることに成功している。またナース・ステーションと食堂を各病棟の中央に配することで病棟を細分してインチメイトな雰囲気を持たすと共に、ステーションからの病棟の視覚的把握を密にしている。外構庭園もリハビリに活用できるデザインであることなど、病院計画に優れている。また、床や壁、外壁の材質、照明、家具など緻密に考えられた極めて密度の高い設計である。

入選 砺波の美容室

砺波の美容室

所在地
砺波市苗加526-1
建築面積
125.90m²
延床面積
114.79m²
竣工
平成17年10月31日
建築主
高 友義
設計
000studio一級建築士事務所
施工
辻建設(株)

講評

建築平面全体、また各室平面が総て不整形の多角形という特異なデザインの美容室である。敷地が三角形なのでスペースを有効に利用することから由来した平面形であるわけだが、図面を見る限りではこの空間が適切に機能するものなのか疑義があった。しかし実際にその空間に身を置いてみると、その空間から隣接する空間が放射状に見え隠れに展開する形になっていて、魅力的な空間のシークェンスを創り出していた。また美容室という作業空間に対して多角形平面は矩形平面に対してデッド・スペースが少ないこと、従ってこうした小規模実務建築には有効である可能性を提示している。

入選 有峰ハウス

有峰ハウス

所在地
富山市有峰
建築面積
693.41m²
延床面積
863.18m²
竣工
平成16年9月30日
建築主
富山県
設計
富山県建築設計監理協同組合
施工
新栄建設(株)

講評

標高1,100mの山中に建つ研修施設である。冬期は積雪4mを越すと同時に6ヶ月間無人となるこの施設に対し、県産材の杉の集成材を用いて斜材を多用した独創的な構造を創り出している。また有峰民家の伝統的構法、「うだつ造」を復原していること、多雪に対する様々な対抗デティル、意匠の考案も評価された。

住宅の部

入賞 ルーバーのある家

ルーバーのある家

所在地
高岡市長江
建築面積
99.27m²
延床面積
147.04m²
竣工
平成16年8月20日
建築主
卯松 久幸
設計
水野行偉建築設計事務所
施工
(株)木本工務店

講評

周囲の景観的に劣悪な環境から室内空間を切り離すために外側に閉じ、中庭を設けて内側に開く一種のコート・ハウスの形式を、狭隘な敷地において巧緻に展開している。テーマになっている正面二階窓の大きな水平ルーバーも採光調節よりは直近下方への視野をカットする機能の方が大きい。中庭を取り巻いてスパイラル上に各室空間を連続させ、床のレベルを変えたりトップライトのある小さな吹き抜けを配したり、またルーフ・テラスを配するなどして小住宅ながら変化のある空間を創り出すのに成功している。在来工法を用いつつも外装にガルバリウム鋼板を用い、内装にも部分的に鮮やかな色彩のポリカーボネート板を用いてシャープな外観、楽しさのある内観を創造している。

入賞 田畠のいえ

田畠のいえ

所在地
富山市田畠
建築面積
141.63m²
延床面積
177.09m²
竣工
平成17年6月9日
建築主
荒川良博 荒川知恵
設計
計画創造 ピュア建築士事務所
施工
(有)ピュア・ハウジング

講評

登り梁を用いた基本的に平屋の構造であり、棟部分に吹き抜けを介しつつ二階を配するデザインによって、全体高を押さえたインチメイトで居心地のいい空間を創り出すのに成功している。玄関からリヴィング、ダイニングへかけてのセミ・パブリック空間とその他のプライヴェート空間を切り分けて行く動線計画に優れている。また玄関前のバイク収納庫、薪収納スペース、カーポートに本屋に連続する屋根を架けて大きなポーチ空間を創り、それを登り梁による深い軒の出によって創られたテラス空間に連続させることによって、庭に連続した魅力的な半戸外空間を創り出している。

入選 K邸

K邸

所在地
富山市上大久保
建築面積
342.96m²
延床面積
480.18m²
竣工
平成17年8月9日
建築主
桐島 勝
設計
(株)おおみ設計
施工
近藤建設(株)

講評

キッチン、ダイニング等の共用部分を玄関脇に置き、その奥に親夫婦の居住空間を配し、共用部分から上る二階全体を子夫婦の家族居住空間とする二世代住宅としてのプランニングに優れている。庭、池、吹き抜けを持つテラスの半戸外空間、そして室内へと展開する空間の快いシークェンスを創り出している。また、玄関へのアプローチ空間の造形も、庭、リヴィングのプライヴァシーを保ちつつ、魅力的なものになっている

入選 ひとつの家 ひとつの空間

ひとつの家 ひとつの空間

所在地
高岡市守護町
建築面積
109.08m²
延床面積
142.14m²
竣工
平成17年12月20日
建築主
条谷 光彦
設計
杉江直樹設計室
施工
髙田建設(株)

講評

ほぼ正方形の平面に片流れ屋根を架けた単純な構成の家である。屋根の高い部分に二階を置いて寝室と書斎を配し、その下に玄関、玄関ホール等を置き、屋根の低い部分に、キッチン、ダイニング、居間、和室をおいてその上部を吹き抜けとしてワンルーム的扱いをした単純明快なプランニングが優れている。また土壌蓄熱式暖房システムの採用も評価出来る。