委員紹介-3

プロフェッション委員 庄司 雅紀

-建築を志したきっかけ-
中学3年の夏休みに、「考える葦」というモニュメントの製作責任者になり、
デザイン、基礎、骨組み、仕上げと男女15人くらいで造り(今もあります)、
その時みんなで一つのものを造り上げる喜びを感じました。
それと、ちょうど安保闘争が終わったころで、大学まで行って勉強したくなく
実務を身に付け早く働きたかったので、普通科より工業高校の建築科を
選びました。

-仕事の変遷-
高校を卒業して、オイルショックの年(昭和49年)に設計事務所に就職し、
先輩方から建築のイロハを学ばせて頂き、13年間たくさんの物件、
たくさんの人の出会いが現在の自分に大きく影響していると思います。
昭和62年(31歳)のバブルの始まりのころに、不動産と大工を直営で
15人ほど抱える設計施工会社に就職し、木造住宅がどうやって造られて
いるかを肌で感じ、クライアントとの打合せ、設計監理、見積りから
実行予算を決め協力会社へ発注、品質管理、工程管理、安全管理と
全部体験し、土地の有効活用、事業計画や会社の経営についても知る
機会を得ました。
この中間管理職の立場は、現場の声と経営者側の狭間に立ち、また、
バブル期の仕事量の多さに限界を感じ、設計だけに専念しようと、
平成5年(36歳)に建築設計事務所を立ち上げました。

自営業の一番のいいところは、時間の使い方を自分一人で決められる
ということで、ちょうど、子育てと重なり、子供と接する時間も多くとれ、
充実した時間を過ごせました。
反面、仕事の面では、納期や予算からクライアントと自分が納得する
仕事ができるか、仕事のない時は、この先家族を食べさせていけるか
どうか、どちらにしても心身にかかる負担は大きく苦しいもので、ちょうど
姉歯事件、リーマンショックもあり、16年間の設計事務所に幕をおろし、
これまでお付き合いがありました補償コンサルタント会社に平成21年
(52歳)に就職しました。
現在は、補償コンサルタントと並行して、設計監理を業務としています。

趣味は、弱い囲碁(好きな棋士、趙治勲・稲葉禄子)と、へたなゴルフ
(好きなゴルファー、ルークドナルド・テレサルー)あと図書館通い
(新聞のまとめ読み)と、野球(中日ファン)と
映画(メリルストリープ・メグライアンが好き)を見ること、たま~に競馬、
竹内まりやも好き(誕生日が一緒・年は違うけど)、人生の師匠は
鬼平犯科帳の長谷川平蔵(悪を知らずして悪を取り締まれるか)。

【名    前】 庄司 雅紀(魚座 八白土星)
【会社名】 (株)かけい補償コンサルタント
【住    所】 〒939-2256 富山市上二杉280-2
【連絡先】 T E L :076-468-2314
E-mail:teardrop@pr.ctt.ne.jp

委員紹介-2

プロフェッション委員 茗原 勉

記憶にはありませんが、小さい頃から両親に3階建ての家を建ててあげると
言っていたそうです。そんな私は電子科の卒業生です。

卒業後、何の躊躇もなく、あこがれの建築の世界へ飛び込みましたが、当時の
業界は封建的で、休日は第一、第三日曜日のみで、友人達は隔週二日制の
はしりで休日がまったくかみ合わず、会う機会の少ない状態でした。
また大工は、十五日、晦日と月二回の給料日があり、現場監督助手の自分は
大工になろうかと、本当に悩み真剣に考えました。

建築のケの字もしらず、まず、この仕事の作業が正しいのかどうなのか、また、
初めて聞く言葉で意味さえ分からず、何も判断できず、これではダメだと一大奮起し、
二度目のチャレンジで、何とか夜間部の大学へ入学出来ました。

会社の理解も頂き、夕方5時頃退社させてもらい、昼間は現場で実務実習、夜間は
学校で実務の予習、復習の繰り返しで、面白いように頭の中に入り、その間、寝る
時間は殆どなく、早くても夜中の二時が当たり前で、四時、徹夜も珍しくないのに
まったく辛いと思った事は一度もなく、それは多分、同じ目標を持った新しい仲間との
巡り合いがそうさせたのかもしれません。

会社では会長が当時、東京都議会議員であり、選挙戦が始まる一ヶ月前から選挙
運動員に駆り出され、期間中は会場の設営、跡片付け、選挙カーの運転手などをし、
当初は選挙運動に来たのではないのにと、かなり反感も持ちましたが、そのお蔭で
道路もかなり覚えました。また、個人演説会場には多くの有名人が弁士として応援に
駆け付け、会えるのも楽しみの一つでした。今、選挙が始まると熱くなるのが、そんな
ところが影響しているのかもしれません。

昭和50年に一身上の都合により富山に帰ってきましたが、東京で仕事を覚えたせいか
不安でたまりませんでした。
二度の会社勤務を経て、58年より独立し、お陰様でまる30年が経ちました。
当時の気持ちを忘れず、今後もオーナーの側に立って考え、共に夢を追いかけ、
喜んでもらえる、そして頼んで良かったと思われる建物を作り続けたいと思っています。

【名  前】 茗原 勉 ( いて座 六白金星 ) A型
【会社名】 (有)茗原建築事務所
【住  所】 〒939-2717 富山市婦中町上田島155番地
【連絡先】 T E L :076-465-4882 /  F A X:076-465-4124
E-mail:miyouhara.k@brown.plala.or.jp

委員紹介ー1

プロフェッション委員会H26委員長 上梅澤保博

-老子のタオ(道)とは-

私は、20年ほど前から気功に興味を持ち、中国伝統風水を研究したり、気孔の
歴史を学んだりしてきました。そうこうするうちに、道教の開祖とも言われている
中国の伝説的人物である老子とその教え「タオ」という言霊(ことだま)にたどり
ついたのです。

老子(ろうし、紀元前5世紀頃)は、中国の春秋時代の思想家で、『老子』
(またの名を『老子道徳経』)を書いたとされ、その思想原理は万物の根本である
タオによって表されます。「タオ」とは「道」とも訳され、宇宙の深遠なる真理について
語られているといわれています。

タオ(道)とは、全ての存在を規定する原理であると同時に、それら全てを生み出した
母なる存在です。人為を廃し自然であることが道に通ずるとされており、このような
態度を無為自然といいます。

「トランスパーソナル心理学」という最近の心理学には、人間の意識の発達段階を
8つに分けて、らせん階段のようにぐるぐる回りながら上に上がっていくという
「スパイラルダイナミクス」という理論があります。
発達の段階(意識の段階)は、同じ人でも、混じりあって現れるのではないかと思い
ますが、優れた建築家がインスピレーションを得るときというのは、この意識の段階
(ミームという)の上部2層ぐらい、第7段階・第8段階の意識状態になっているのでは
ないかと考えます。

もしくは、さらに高度なミームもあるそうなので、そういう特別な意識状態なのかも
知れません。そのような時にタオ(道)は語りかけ、直感又は一瞬のビジョンでもって、
これから生まれるべき使命をおびた建築のブループリントを建築家の脳の表面意識に
「光」のように照らすのかもしれません。
それは、太極図(タオの概念を示すといわれ、陰陽五行思想の陰陽をあらわす)の
黒い部分に1点の白があるように、かすかな光であるかもしれませんが。

「変性意識状態」の正常解離といわれる状態では、時間や場所の感覚がなくなり
潜在意識にアクセスしやすくなるそうですが、好きなもの情熱を傾けるものに寝食を
忘れて熱中している状態はだれでも起こりえる意識状態です。
そのような時に、高いミーム(意識状態)に特定の分野である人は、その道で革新的な
才能を発揮するのではないでしょうか。

心理学では魂のことを「非局在的意識」 という言い方をすることがあるそうですが、
時間や空間を超えて移動する、だれのものでもない意識が人間の意識にはあると
感じています。また、人の意識は表面意識(顕在意識)・無意識(潜在意識)・集合的
無意識(普遍意識)というとらえ方もあるようですが、無意識のレベルが老子のいう
タオの世界と通じているような気がしてなりません。

例えば中国古代思想の易経でいう六四卦とDNAの言語体系はまったく一致している
そうです。易経が出てきたのが3000年位前で、DNAの符号語が解読されたのが
1961年ですから、易経を発明した中国人は集合的無意識にアクセスして、
光(インスピレーション)を得たのではないかと思います。
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フランク・ロイド・ライトは「建築は、生きるための、その内なる空間にこそ実在する」
といった老子の悟りを認識し、それを実際に建設しようとしていることに誇りを持つと
いっています。そしてこれが、彼のいう「有機的建築」の中核概念だといっています。

2013年9月25日(水)~10月1日(火)の7日間の日程で F.L.ライトの作品を見て
きました。一番感動した建物は、ジョンソン・ワックス本社ビルでした。総務や経理が
今も執務している事務家屋は内部に入れてもらい、その精妙なる空間に非常に癒される
ものを感じました。

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ハスの花が咲いたようなコンクリートの円柱がならび、その円形の天井・屋根の構造体の
間からガラスのチューブを透かして、ほどよい白い光が差し込んできていす。

閉鎖的な人口の空間でありながら、木漏れ日の中にいるような、森の自然を連想する聖なる
空間でした。人工的というよりは、土臭い巨大な苔の中に、小人になって住まっているがごとくの
建築で、F.L.ライトが唱える『有機的建築』の最高峰のひとつと感じました。

そして、このジョンソン・ワックス本社ビルは、ライトの作品の中で(おそらく思想家として自分より
格が上であると認めていたのではと思う)老子タオ(道)の世界感を一番表現しているのでは
ないでしょうか。

【名  前】 上梅澤保博
【所  属】 上梅澤建築設計事務所
上梅澤(土地家屋調査士)事務所
【住  所】 〒939-8006 富山市山室256-4
【連絡先】 ℡ 070-5636-8880 / Fax 050-3737-5472
E-mail:kami-ym@ma.net3-tv.net
【趣  味】 太極拳、気功(太極気功十八式)
【仕  事】 建築設計、土地家屋調査士、不動産風水コンサルタント

きほんのBIM勉強会 その1

◇ 日 時:平成27年2月13日(金) 18:30〜19:30
◇ 会 場:建築設計会館3階
◇ 講 師:福井コンピュータホールディングス株式会社
GLOOBE担当)菅原氏
◇ 内 容:
BIMとは、コンピューター上の建築3次元モデルに、コストや仕上げ・管理情報
などの属性を追加したデーターを、設計から維持管理までの全工程で活用するための
解法であり、設計の流れです。
外国ではかなりの比率で設計に用いられ、日本でも大手設計事務所・ゼネコンが導入
しており、手描き図面が2次元CADに移行したように、避けては通れない技術革新です。

資料写真
GLOOBE資料

プロフェッション委員会では、委員会活動の一環として、唯一日本製のBIMソフト
GLOOBEについて、基本勉強会ーその1回目を行いました。

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勉強会の様子

以下は、参加したメンバーM.Sさんの感想です。

講義は、福井コンピュータアーキテクト(株)菅原様のBIMソフトGLOOBEを
使ったデモンストレーションで始まりました。
そもそもBIM(ビム)とは、Building Information Modelingの略で、
コンピューター上に作成した3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、
材料・部材の使用・性能、仕上げ等、建築物の属性情報を併せ持つ建物情報
モデルを構築することをいう。(国交省ガイドライン用語の定義より)
なんのこっちゃか、全然わからん。
日本語なんだけど、まるで志の輔の「みどりの窓口」みたい!
わかりにくいはずです。
これは概念(コンセプト)ですから...、なおさらわからん(^^;

もともと、1987年にアメリカで生まれ10社ほどがソフトを開発していて、
日本では、2009年くらいから導入され、現在では大手設計事務所・大手ゼネコンは
すでに活用しているGLOOBEは、国産初(日本の法律に対応している)のソフトです。

これは、テクノロジー(コンピューター)の進化に伴い、2次元から3次元とビジュアル化
された設計図に建築情報を加え、さらに業務の効率化を図り、煩雑な法規制などを
すばやくデザインに生かし、構造、設備、省エネ、積算、施工、さらに維持管理まで
一貫することでクライアント、設計者、施工者が情報を共有するシステムです。

では、具体的に何ができるんだって...!?
・プレゼンテーションが容易にできる。
・企画から基本設計の時間が、大幅に短縮できる。
・3次元のモデルをコンピューター内で作ると同時に、2次元の図面(平面・立面・断面)を
作成する。
・法規との不整合(逆日影・逆天空率など)を自動的にチェック。
・今使っている2次元CADから、簡単に3次元化することができる。
・設備などの干渉チェックが、すばやくできる。
・整合が取れたミスの少ない図面ができる。
・・・・・ まだまだありそう!!

それで、どう仕事が変わるのか?
・デザインが向上し、仕事が取れる。
・業務プロセスが改善し、経営効率が上がる。
・機能とプロポーション、同時に考えることができる。
・・・・・ 導入してもいいがかな?(^_^)

費用対効果からはメリットがありそう、でもそんな仕事があるかな~?
マスターするまで時間がかかるし~、サポートはちゃんとやってくれるのかな~?
不安要素があるとしたら、デザインを優先した設計になり、施工技術、ディティールの
不完全さから、漏水や強度不足が起きるのではないか?・・・注意したい!!

デモ版を体験してみて、
今まで、JWで手描き感覚の図面を書いてきましたけど、初めてCADに接した時より
はるかに異次元な感覚、頭の固さも手伝ってか「モデル入門編」すら、のみこめません!!
ただ、2D画面横に3Dが出来てきますから、本当に建築が出来上がっていくリアリティが
あります。

アナログ人間が、40年前に設計の仕事を始めて、世の中の流れとはいえ、これほど有り様が
変わるとは、たぶん後10年もすればBIMは常識になり、さらに進化のスピードは加速し、そこに
できる都市、建築は3Dを代表した建築家ザハ・ハディドの建築みたいになっているかも...。

ただ、機械が人間の弱い部分や未成熟な部分を補っても、本来の人間性を失わない心が豊かに
なる建築を創って行きたい。
今日は「きほんのBIM(ビム)勉強会 その1」なので、たぶんその2もあるのかな?
この異次元な世界は、体験しておいた方がいいかも ・・・。
目からうろこです!!

プロフェッション委員会 庄司

建築技術講習会[老子のタオ(道)と有機的建築について]

一昨年、壮年部は『プロフェッション委員会』として生まれ変わりました。
設計・施工の悩みを委員同士で相談したり、新しい技術BIMの勉強会、 また
ジャズ鑑賞 (コットンクラブ)も楽しみました。
更に建築技術講習会を(7/26、9/13、11/15の日程で3回)開催しました。
今回は、その中の一つ「老子のタオ(道)と有機的建築について」ご紹介 します。

◇ 日  時:平成26年7月26日(土) 18:30〜20:30
◇ 会    場:サンシップとやま(富山県総合福祉会館)703号室 富山市安住町5-21
◇ 講    師:上梅澤 保博氏(上梅澤建築設計事務所代表)
◇ 内  容:老子とフランク・ロイド・ライトの思想の共通点

ライトとは、右でも、飛行機を発見した人でもなく、もちろん軽いわけでもない!
建築の世界でのライトとは、フランク・ロイド・ライトのことです。
建築家フランク・ロイド・ライト

昔、設計の仕事を始めたばかりの頃、先輩からライトの図面をトレースするように
教えられましたが、簡単にトレース出来る代物ではなくて、唯々眺めていました。
囲碁の高段者は、古い棋譜をならべて勉強すると聞きます。建築も良い建築の図面を
描いて、設計意図・建築手法を読み取り、創造力を養いたいです。

ライトの提唱した有機的建築と相対立しているのが、コルビジェの機能主義建築ですが、
好き嫌いは別にして(私はどちらも好きです・・欲張り)、有機的建築とはどのような建築
なのか、上梅澤委員長が自ら見てきた、ライトの設計した建築の写真を基に学びました。

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講習会の様子

 

次はタオです。
taikyokuzu

タオ(道・ドウと読む)は老子の唱えた思想で、宇宙との調和の中で生きる
ための道、人間の体もひとつの小宇宙ととらえ、無為自然な生き方をする
老子は生まれた時から老子(偉大な人物・年老いた教師とも言われている)と
呼ばれていたわけでなく、本当の名前はどうだったんでしょうか?
キリストの生まれる前のことですから、老子は、人間はいかに生きるか、
どう自然とバランスを取りながら生きるかを考えた人で、その中でもタオとは何か?
かなり哲学的で簡単に説明できません・・・。

 

老子画像
(老子の写真)
老子は紀元前5世紀頃の生まれで、当然ライトより年上である(生きていれば)
ライトは老子のタオにどのような影響を受けたのか、接点や共通点はあるのか、
建築とはどのようにあるのが自然な姿なのか?視点を変え、あらためて建築を
考える機会を得る事が出来ました。

あながち、宗教や哲学・思想の話をすると熱くなるのは、誰も簡単に自分の心の
中に踏み込まれたくない防衛本能のようなものが働く。
しかし、いったん入り込んでしまったらなかなか抜ける事が出来ない。どう生きるか、
何を感じるのか、むずかしい話になってきました・・・(^^;

夜も更けて
少し硬くなった頭を柔らかくするため、古里あゆさんのボーカルと、トミー松浦ジャズ
バンドのライブハウス、コットンクラブへ移動!!
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正直ジャズはわからない(いや音楽すべて)
でも、あゆさんが英語(たぶん)の曲をなまめく伸びやかな声で
気持ちよさそうに歌っているのを聞いていると、こちらが気持ちよくなる(^^v
お酒も手伝って、少し甘美なこの世とは思えない、しばし陶酔の世界へ...。

今年も、続編がありそうなので、興味のある方は、是非参加して頂ければと
思います。

プロフェッション委員会 庄司