平成28年11月26日(土)サンシップとやまで、
「茶室技術講習会その5(基本編2)」がありました。
今回も、鎌田 茂氏(鎌田工務所代表)を講師に、
茶室の「はなし」いろいろを主題に、基礎用語集やご自分で
編纂された図面集などを基に、お話しして頂きました。
私は今回が初めての受講で、日頃お茶の世界とは縁のない生活を
しているものにとっては、とても興味深いものでした。
今まで、お茶を習っている奥さんのお宅の座敷や水屋を設計した
ことはありますが、正式のものではありませんでした。
講師の長年の経験から雑談も交え、楽しいお話をお聞きすることが
できました。
炉の切り方も、本勝手、逆勝手と流派により様々な形があり、冬季は
炉、夏季は風炉を用いる。
畳の床差しは許されるが、天井の張る方向は床差しは許されない。
茶室に使用される材料は、特に決まったものはないが、皮付きのものや、
自然に見える物を用いる。
富山は降雪を考慮するので、柱材等が少し太くなり、基礎コンクリート
も外から見えないよう石積などの仕上げとし、外部も雨仕舞や耐震を
考慮しながら真壁とする。
畳や仏壇のある家が減少し、昔ながらの和風建築の良さがだんだん
少なくなってきて、合わせて庭と一体となった住宅もあまり見られない
ようになった。・・・など
ここからは、日頃私が思っている茶道の作法についての考察です。
躙り口について
お茶を習ったことがないので、よくわからないのですが、躙り口は
武士が刀を取らないと茶室に入れないために、このような形になった
ことは知っていましたが、茶室から出るときの所作がわからない。
入るときは外から高くなっているので、それなりに入れる。
中に入り、ふりかえって草履をたてかけておく。
出るときは、草履をいったん後ろ向きにし、お尻から見えない草履を
足で探しながら出るのも所作としてあまり美しくない。
しからば、前向きに出ると、頭を出してから果たして足が出せるのか、
特に和服の女性はどうするのか、なんかのはずみで沓石に頭から落下
することも考えられる。あるいは帯のところでひっかかるか。
調べてみると、流派によって違ったり、外にサポート役がいたり、
臨機応変みたいですが、私みたいに膝痛をかかえたり、足腰の弱って
いる人には過酷ですよね。
やっぱり茶の湯は命がけですね。
今は、立礼の椅子式茶室や、野点の茶会もあり、躙り口を使用する
ことは少ないのかもしれないです。
まわし飲みについて
ひとつの茶碗で順番にまわし飲みする作法は、茶会に招かれた者同士の
一体感を深める象徴です。
本当かどうかわからないが、大谷刑部(重い病気)と一緒に茶会に
招かれた、石田三成は、刑部の鼻水がたまたま茶碗の中に落ちたが、
三成はそれを何事もなかったように飲み干した、それ以来、刑部と
三成は強い信頼関係ができたとある。
お茶の作法でないと、ありえないので、まことしやかに思える。
講師は、ご高齢にもかかわらず、かくしゃくとしておられ、講義に備え
新たに勉強や準備をしてくださり、誠に頭の下がる思いです。
私も講師を見習い、日々精進しなくてはいけないと痛感させられた講義
でした。
鎌田さん、ありがとうございました。
(記:S)