〇富山ブロック研修事業 新潟県上越地方訪問・見学会バスツアー〇
【主管】富山支部
【開催日時】:2024年10月5日(土) ~ 10月6日(日) 一泊二日
【ご協力】公益社団法人 新潟県建築士会 上越支部
【参加者】会員14名(富山支部:9名、婦負支部:3名、高岡支部:1名、氷見支部:1名)
会員外1名 合計15名
【上越支部からのご参加】12名
令和6年度の富山ブロック事業を上記の概要で開催いたしました。
・10月5日(土)
富山より北陸自動車道を経て上越市直江津地区へ向かいました。
居多神社前駐車場で(公社)新潟県建築士会上越支部の皆様に出迎えを頂きました。
2班に分かれ、五智歴史の里 観光ガイドさんの案内で親鸞聖人ゆかりの地を歩きました。
・居多神社 ~ 居多ヶ浜 ~ 五智国分寺 の見学。
・昼食は上越名物「するてん」とめぎすの天ぷらをいただきました。 ※塩するめの天ぷら
直江津を後にし、午後からは上越市高田地区のまち歩き。
「この下に高田あり」と言われるほど高田の豪雪は有名です。長い歴史があり、職人町の風情が残る「雁木」のまちなみを、上越支部の皆様の解説を頂きながら散策しました。
増えていく空き家については富山でも大きな問題となっているところですが、町家建築の空家を有効に活用し、飲食店や小売店舗への再生事例等について解説頂きながら見学できた事は大変参考になりました。
・町家交流館 高田小町
明治時代に建築された町家「旧小妻屋」を再生・活用した交流施設で、高田の町家の特徴である吹抜けや土蔵を見学。
・旧今井染物屋
江戸時代末期に建てられた、市内に現存する町家の中でも最も古く、最大級の町家。
保存状態もよく、高田を代表する町家として価値が高いことから、令和元年(2019年)8月に上越市文化財に指定。
・瞽女(ごぜ)ミュージアム
瞽女 とは目が不自由な女性で、各地を巡り、唄と三味線の演奏を披露する旅芸人。
映像を交えて解説頂き、高田瞽女の文化と歴史の一端を学ぶ事が出来ました。
・高田世界館
映画100年の営みを現在にそのまま伝える日本最古級の現役映画館。現在も映画館としての営業を続けており、話題の新作から昔の名作まで幅広く上映中。上映の合間に内部を見学させていただきましたが、それこそ映画に出てきそうな佇まい。国の登録有形文化財や近代化産業遺産にも登録されている、貴重な映画文化遺産です。
・夕方、登録有形文化財にも指定され、創業百四十年 歴史ある料亭の「宇喜世」に移動し、支配人のご案内で見学会を開催。ライトアップされたお庭や当時の職人技が随所に光る歴史ある建物を時間いっぱい見学させていただきました。
・その後、大広間に移動し、令和6年能登半島沖地震を受けた富山・新潟両県建築士会の対応や被災状況、両支部の活動報告について発表・意見交換会を行いました。
〇富山県建築士会 鈴木常務理事より令和6年能登半島地震を受け、富山県建築士会の応急危険度判定対応や被災住宅相談所対応等について報告。
〇富山県建築士会 川合監事(氷見支部)より氷見の被災状況や対応、いまだに復興の進まない能登地方の現状に関する報告を頂いた後、富山支部富樫より富山支部活動報告(かぐてんぼう隊の紹介と今年の活動について)を実施。
〇新潟県建築士会 会長 田中隆司様より能登半島地震を受けての新潟県建築士会の対応状況について、並びに関東甲信越ブロックにおける各県の応援体制の構築状況についても解説頂きました。
また、新潟県建築士会の会員構成をもとにした高年齢化の進行における会員減少予測について等、富山でも抱える課題についてあらためて共有し認識する事が出来ました。
〇その後、新潟県建築士会 上越支部 支部長 齊藤義憲様より上越支部の活動についてご報告をいただきました。
・皆様の発表の後、交流・懇親会を開催。
美味しい料理とお酒を頂きながら、意見交換会のつづきも行われ、皆が耳を傾けました。
参加者全員で両県の交流を深める事が出来ました。
二次会で更なる盛り上がりだったようです。
・10月6日(日)
午前中は上越市周辺部を見学。
齊藤支部長と種岡事業委員長にはバスに同乗頂き、車中でも様々なお話を頂きました。
・前島記念館
郵便の父・前島密を記念して作られたミュージアムとなっており、建物は生家・上野家の屋敷跡に建設。渋沢栄一も一目置いた清廉潔白な前島密の人柄や大きな功績について解説を交えて見学。
・岩の原葡萄園
1890年(明治23年)に、日本のワインぶどうの父と呼ばれる創業者「川上善兵衛」によって拓かれた葡萄園を見学。今でも続く雪を利用した冷却設備「雪室」を利用してワインを熟成している「第二号石蔵」などを見学し、そのあとはお楽しみの試飲タイム♪
・ゑしんの里記念館
親鸞聖人の妻恵信尼が晩年を過ごした場所に建つ記念館。池原義郎氏の設計作品。
・上越市内周辺部の3か所を回り、解説を頂きながらの見学の後高田へ戻り昼食をいただきました。
ここまでお世話になった上越支部の皆様とお別れし、一路糸魚川へ。
・谷村美術館
仏像コレクターであった糸魚川の谷村建設の社長が、木調芸術家 澤田政廣氏の作品10点を収納・展示する為、村野藤吾氏の設計・監理のもと1983年に開館した美術館。
「谷村美術館を学ぶ会 」代表の田原 実様に館の内外についてひとつひとつ解説を頂きながら巡りました。個人的には何度か見学に来ておりましたが今回の見学会は本当に楽しみなものでした。
まず、村野藤吾氏について映像資料で学んだあと美術館へ。
入口を抜けると村野氏自ら製作したスタディ模型が飾られ、ランダムに並ぶ野地板を見上げながら、一直線に続き、壁と足元が一体化した回廊を進みつつ建物の外観を見学。
中に入り、仏像一点一点専用に計画された展示室を順に巡ります。天井や壁からの自然の光と間接照明に照らされた作品を鑑賞していると丁度自然光のみで鑑賞できる時間になりました。
より幻想的に干渉する事が出来ました。晴れた日、曇りの日、午前、午後・・・差し込む光が変わり、その時々で見え方が違うようです。
内部においても村野氏に確認し、まず足元の巾木からつくり壁を立ち上げ仕上げていった過程について解説頂きました。
再び美術館外部へ。自然の光を取り込むため何度も手が加えられた部分などを間近に見ながら村野藤吾氏が最後までこだわった手づくりの建物の最後の作品を細部まで学ぶ事が出来ました。
当時、村野氏92歳、澤田氏89歳 いつまでも冷める事のない両巨匠の傑作を見学し、感激。
糸魚川伝統のバタバタ茶を頂きながら、当時の現場監督さんの苦労話が詰まった映像資料を鑑賞し谷村美術館を後にし、富山へ帰りました。田原様ありがとうございました。
富山と新潟の県境が建築士会の「東海北陸ブロック」と「関東甲信越ブロック」の境界と重なり、今まで両県の建築士会が交流を持つ機会はあまり無かったようです。
本事業を計画するにあたり、ブロックを越えて上越の皆様に快く受け入れて頂き、多大なるご協力を頂いた事で実現する事が出来ました。見学先や時間配分など細かな調整をされ、上越発祥のさまざまな事について学ぶ機会を得て、参加者全員が大変貴重で意義深い経験をしました。
若干緊張して伺いましたが、建築士会の仲間同士うちとけるのも早く、お互いとても楽しい時間を過ごす事が出来ました。今回の交流が何かのきっかけになり、今後に繋がれば幸いです。
あらためまして、新潟県建築士会 会長 田中隆司様はじめ、上越支部関係者の皆様には心より感謝申し上げます。
また、谷村美術館を学ぶ会代表 田原実様からも、より深く美術館について学ばせていただいた事に御礼申し上げます。新潟の皆様本当にありがとうございました。
次はぜひ富山県へお越しください!!
記事 富樫 吉規