平成20年度 第39回富山県建築賞受賞作品

一般の部

入賞 富山市まちなか賑わい広場 グランドプラザ

所在地
富山市新総曲輪3-8-39
建築面積
1,489m²
延床面積
1,489m²
竣工
平成19年9月1日
建築主
富山市
設計
(株)日本設計
施工
佐藤工業(株)・日本海建興(株)・村松建設(株)JV

講評

総曲輪通り、中央通りに代表されるように富山の繁華街はアーケードを架けたリニアーなもので、基本的に人が通り抜けて行くものであった。そこに総曲輪通りと平和通りを繋ぐ相当規模の人が溜まり、コミュニケーションが出来る広場を創り出したことが評価される。雪国である富山では繁華街にアーケードを架すことは必要だが、通り空間が閉鎖的、閉塞的な感覚を与えるものになっていた。そこにこうした開放的な空間を通り中央部に連接させたことで、繁華街空間に変化する空間的対比を創りだし、繁華街空間全体を魅力的にしている。広場の空間造形においては、全体をガラスで覆った明るい開放的な空間を創っているが、積雪荷重などの悪条件にも拘わらず、隣接建物の壁からガラス屋根を吊るなどサスペンション構造を用いて梁の断面を小さくし、従来のスペース・フレーム立体トラスでは実現できない開放感、透明感のある屋根および空間を実現している。覆いとしての屋根、壁、構造の視覚的プレゼンスを極力抑えることを目指したデザインが評価できる。

入選 魚津もくもくホール

所在地
魚津市下椿8
建築面積
1060.07m²
延床面積
1012.34m²
竣工
平成20年3月13日
建築主
魚津市
設計
(有)建築科学研究所
施工
谷口建設(株)

講評

地元で生産される小断面で必ずしも強度も一律ではない杉材を使用しながら、集成材の技法を採らず、また極力金物の使用を避け、伝統工法を応用したユニークな構造、角材を四本並べて緊結した材で台形フレームと山形フレームを作り、これを交互に桁行き方向にならべて五つの稜を持つ木造ヴォールトを形成し、その上に小口の母屋と垂木の屋根を架けると言う構造を案出して大スパン空間を実現している。この構造で実現された体育館インテリアは、木材のテクスチュアと色彩のみで構成されたインティメイトな魅力ある雰囲気のものとなった。また外観も曲線的な柔らかさがあり周囲の田園環境に調和し馴染んでいる。必ずしも良質とは言えないこうした地元材を、新しい技術的考案によって積極的に用いることで、地元産業の活性化を図っている。

住宅の部

入賞 打出のいえ

所在地
富山市四方
建築面積
116.41m²
延床面積
146.98m²
竣工
平成19年6月7日
建築主
田中栄太郎
設計
計画創造ピュア建築士事務所
施工
(有)ピュア・ハウジング

講評

一階にガラス工芸アトリエを持つ併用住宅であるが、一階ではこうした異質の機能を容れつつも、流動的なフレキシブルな空間を創り、主寝室、浴室等の閉鎖的、独立的空間は二階に配し、かつ日照、風などの環境条件に対応した巧みな平面計画が評価された。また1m以上最長のものでは2.5mに達する深い軒の出が特徴のひとつであるが、これによって環境負荷を減らす試みがなされている。同時にこの軒の水平線とやはり深い出を持つ切妻の形態、ガルバニューム鋼板、セラミック・サイディング、漆喰を用いた外壁の材質構成が、建物の外観を個性的で魅力あるものにしている。

入賞 ロッククライマーの家

所在地
砺波市鹿島
建築面積
167.59m²
延床面積
179.87m²
竣工
平成19年11月25日
建築主
橋本喜晴
設計
村瀬充アトリエ一級建築士事務所
雲空間設計スタジオ一級建築士事務所
施工
永森建設工業(株)

講評

様々な、しかも良質とは言えない形態の住宅が敷地の周囲に立ち並ぶ新興住宅地における住宅デザインのひとつの提案である。すなわち外へ向かって閉じた空間を創り、内部に中庭(コート)を置いて内へ向かって開く町屋型の計画である。センターコートを巡って諸室が配されたシンプルな平面計画、また住人の趣味であるインドア・クライミングのトンネル状に立ち上げたクライミング・ウォールを容れた吹き抜け空間、それに掛けられたブリッジで連絡する二階の子供用空間など意外性のある三次元的な空間構成が評価された。正面外観はガルバニューム角波張であるが、これを黒塗りにしその比例を整え、また玄関部を打ち放しコンクリートとガラスで構成したこれも整った比例をもつ箱として突出させることによって、美しいシャープなコンポジションを創り出して、外部への圧迫感を低減している。

入選 木と土と緑の家

所在地
富山市上冨居
建築面積
246.67m²
延床面積
228.45m²
竣工
平成19年5月10日
建築主
堀井清勝
設計
建築工房アシストプラスアルファ(有)
施工
建築工房アシストプラスアルファ(有)

講評

新築住宅であるが、住人がかつて住んでいた築50年の伝統的住宅を解体した古材を要所に用いた設計である。古材は主として欅の構造材で玄関、リビングの構造に用いられ顕しとされて、魅力的な空間を創り出している。また式台や腰掛などの造作や家具の一部にも松などの古材が用いられて、雰囲気を出している。本漆喰や引きずり仕上げを用いた壁など材料と仕上げが優れた効果を出している。また庭への眺望が設計テーマのひとつで、造園にも工夫がみられる。

入選 House O

所在地
南砺市高瀬
建築面積
59.83m²
延床面積
116.85m²
竣工
平成20年3月29日
建築主
大谷公一
設計
ヨコヤマダ建築設計事務所
施工
藤井工業(株)

講評

一辺約7.7mの正方形平面の中心線に沿って十字形に、幅88cm、83cm、65cmの二階を通して屋根まで抜ける廊下状のスリットを入れ、トップライトを持つ吹き抜けとし、一部を階段室、収納、洗面、便所などに用いながら各室に採光するというユニークなプランニングと空間構成である。このスリットが構造体でもあるので、スリットにとりついた各室の床の高さは自由に選択できる。スリット空間を渡って床レベルの高低差のある各室が連絡しまたそれを通じて視覚的に連なり、工夫された色彩計画と相まって、変化に富む面白い空間を作り出している。またこのトップライトを架したスリットが空気ダクトとして機能し、空調効率を高めていて、環境負荷の軽減が図られている。