平成17年度 第36回富山県建築賞受賞作品

一般の部

入賞 ウイング・ウイング高岡

ウイング・ウイング高岡

建築主
末広開発(株) 代表取締役 荒井 公夫
設計
(株)梓設計 (株)日建設計 (株)創建築事務所 JV (代表) (株)創建築事務所 代表取締役 藤田 順吉朗
施工
鹿島建設(株) 塩谷建設(株) 寺﨑工業(株) JV (代表) 鹿島建設(株)富山営業所 所長 石田 友秋

講評

低、中層部に小規模商店街、高岡市中央図書館、男女平等センター、高岡市生涯学習センターとその多目的ホール、高層部にホテル、高等学校、県民カレッジを入れるという、これまで無かった商業施設と公共教育施設を複合させた新しいタイプの都市施設を提案したことと、それを高岡駅前という新しい都心軸に置いたことが高く評価された。質の異なる機能空間が三次元的に適切に整理されて配されていること、またペデストリアン・デッキや前面広場公園、エントランス・ホールから市民ラウンジに至る空間などによって施設全体を、都市空間に組み込んでいることも評価された。

入賞 射水市消防本部庁舎

射水市消防本部庁舎

建築主
射水市長 分家 静男
設計
(株)創建築事務所 代表取締役 藤田 順吉朗
施工
髙田建設(株) 射水建設興業(株) (代表) 髙田建設(株) 取締役社長 髙田 萬壽子

講評

敷地東面に庁舎本体を寄せ、それに消防車車庫がT字型をなして取り付く配置が、車庫を北面、南面の双方に開かせ、迅速な出動に資していること、また一階の動線計画が、隊員の出動に関して適切に計画されていることが評価された。庁舎本体に円弧を与えて地形に適合させ、アルミによる外装も要所でパネルのテクスチュアを変え、同時に開口部の形態もカーテン・ウォールと窓とを併用して変化を持たせている。三階バルコニーの赤い円柱がアクセントになってランドマーク的デザインに成功していることが評価された。

入賞 南砺市平文化複合施設

南砺市平文化複合施設

建築主
南砺市長 溝口 進
設計
(株)創建築事務所 代表取締役 藤田 順吉朗
施工
[平小学校体育館及び行政センター] (株)長田組(株)岡部 JV (代表) (株)長田組 代表取締役 長田 一政
[保健センター] (株)中村組 谷畠建設(株) (代表) (株)中村組 代表取締役 中村 義之
[春光荘] 髙田組(株) (株)藤田木材 (代表) 髙田組(株) 代表取締役 女川 功夫

講評

平小学校体育館の改築と行政センターの新築、小学校に併設してあった保険センターと若者センター「春光荘」の改修という複合的な計画を行ったものである。従って既存の建築計画的文脈にどのように新築部分、改修部分を適合させつつ新しい文脈を創り、デザインを改善して行くかが問われるわけだが、この作品はかなりの程度これに成功している。こうした既存の建築を再利用しながら新しい機能を付加して再生してゆくことは、これからの建築界にとって重要なテーマであるが、それに積極的に取り組んだことが評価された。

入選 源川原団地

源川原団地

建築主
富山市長 森 雅志
設計
(株)創建築事務所 代表取締役 藤田 順吉朗
施工
【第1期工事】タカノ建設(株) 代表取締役 髙野 二朗
【第2期工事】[その1]澤井興業(株) 代表取締役 田島 広志 [その2]鈴木建設工業(株) 代表取締役 鈴木 忠彦 [その3]つばさ建設(株) 代表取締役 高野 省一

講評

白壁、切妻の瓦屋根、木造軸組を連想させる貼付柱等の意匠によって、八尾町の歴史的景観に配慮したデザインを行っている。また、街路に接する部分には雁木的な庇を回して、歩行空間にヒューマン・スケールを与えインティメイトな雰囲気を与えることに成功している。こうした点が評価された。

入選 魚津市立図書館

魚津市立図書館

建築主
魚津市長 澤﨑 義敬
設計
(株)日立建設設計 山田 義和
施工
山形建鐵(株) 谷口建設(株) JV (代表) 山形建鐵(株) 代表取締役社長 山形 剛

講評

小規模なパブリック・ライブラリーであるが、その機能計画の基本が適切に行われている。また小規模でありながら内部空間の変化、外部空間との取り合い、図書館機能に寄与する形での外構の処理等に優れている。外観デザインにも主張が見られる。こうした点が評価された。

住宅の部

入賞 とやまの家

とやまの家

建築主
水野 佐智子
設計
水野行偉建築設計事務所 水野 行偉
施工
(株)木本工務店 代表取締役 木本 誠一

講評

妻側の屋根全体と全面道路に面した壁を鉄骨パイプ・フレームにガラスを入れた寄せ棟の箱を先ず作り、その中に木造二階建の居室を入れるという意表をついた構成が評価された。こうしたコンセプチュアルなアイデアは、例えば閉鎖的なプランニングを余儀なくされるなど、掣肘を来すことが多いのだが、この作品はこの外部の箱と入れ子になった居室部分との間の廊下状の空間にアトリエやキッチン、浴室、収納などのサーヴィス空間を入れること、また中庭を配することで適切に解決している。また街並に対してランドマーク的な美しい景観を寄与していることも評価された。

入賞 希望ケ丘の家

希望ケ丘の家

建築主
福田 忠雄
設計
空創建築計画事務所 林 芳宏・林 千晶
施工
(株)ミヅホ建設 代表取締役 長森 竹志

講評

敷地南東の角に道路に開かれた庭を配置し、それを囲んで居室が配置され、居室と庭との取り合いに庇を廻して繋ぎの空間を作り、内部から外部に開かれてゆく空間のヒエラルキーを構成していることが評価された。広いユーティティ・ルームを取って多目的な利用を可能にし、リヴィング・ルームを総ての主要動線が交叉する家全体のホールとして扱った、利便性の高いプランニングが優れている。また、一階天井を根太天井として階高を押さえることによって、吹き抜け部分の空間スケールと家全体のプロポーションを適切なものにしている。

入選 石丸の家~散居村の浜茶屋~

石丸の家~散居村の浜茶屋~

建築主
石崎 次郎
設計
天野一男建築工房 天野 一男
施工
サンエー建工(株) 代表取締役 原野 忠夫

講評

前面道路と住宅との間に、敷地幅一杯に約17.5m伸び、奥行約5.5mのゲート状の建物を配して、これを一種の接客空間、コミュニケーション空間とするアイデアが評価された。ポリカーボネート折版を貼った陸屋根で壁のない開放的な、仮設的に見える意匠が「浜茶屋」の連想を呼んだもので、周囲の田園景観にアクセントを付けて調和していることも評価された。

入選 借景の家

借景の家

建築主
横田 春雄
設計
一級建築士事務所玉家住宅設計研究室 斉藤 旭
施工
(株)玉家建設 富山支店 代表取締役社長 神 亮一

講評

住宅前面と玄関奥に前庭、そして住宅背後に美しく広壮な日本庭園を配した住宅であって、居室空間と庭との取り合い、また庭の見え方に徹底して意を尽くした住宅であり、計画、意匠においてそのことに成功していることが評価された。日常生活空間と接客空間を玄関部によって完全に分離したプランニングも評価できる。